砥石を使って包丁を研ぐ!うまく研ぐ為のポイントと解説(片刃編)

切れない包丁を使うと気分が悪いですよね。

せっかくの食材が台無しになるし、料理の仕上がりも悪くなります。

包丁の切れ味をもどすためには”包丁を研ぐ”必要があるのですが、 ”研ぐ”といってもやり方はいろいろ。

そこでこのページでは、現役料理人である私が”砥石を使った包丁研ぎ”(片刃)について解説します。

なぜ包丁を研ぐのか?

包丁は使えば切れ味が悪くなります!
これは包丁を使うことにより鋭利な刃先が丸くなっていくからです。
鋭く研がれた包丁の刃先は薄く、強い力が加わると丸くなってしまいます。
包丁を使う上でこれは絶対に避けられないので、すべての包丁は”研ぐ”必要があるのです。

包丁の研ぎ方の種類とメリット・デメリット

包丁の研ぎ方は大きく分けて3種類あります。
それはシャープナー・砥石・その他です。
それぞれのメリット・デメリットについては下で解説します。

シャープナー

出典AMAZON:片刃用シャープナー

シャープナーは簡易研ぎ器です。
誰でも簡単に短時間で切れ味をもどすことができるのがメリット。

デメリットとして、シャープナーは刃先を荒らして食材に対する”食いつき”を良くしているだけです。
砥石での研ぎ直しを挟みながら使用するのがいいでしょう。

市販されているシャープナーは両刃用がほとんどで、片刃用は少ないです。
片刃の包丁に両刃用のシャープナーは使えないので要注意!

シャープナーは一時的に切れるようになりますが、すぐにまた切れなくなります。そればかりか、シャープナーの使用をかさねることにより刃先は深刻なダメージを受け砥石での修正が大変になるのです。

シャープナーと砥石のメリットを理解して使いこなすのが賢い方法ですよ!

砥石

砥石で包丁を研ぐということは、丸くなった刃先を鋭利に整形し直すということです。
強く・切れ味が長持ちする鋭い刃先を作ることができるのがメリット。

デメリットは技術と時間が必要ということです。

このデメリットを補うための解説を下でしています。
チェックしてくださいね!

その他

陶器の底の部分を使います。

その他として、”陶器の裏でこする”を解説します。(底のツルツルしていない部分)
メリットはどこの家庭にもあり、手軽で簡単なことです 。

デメリットは、あくまでも”一時しのぎ”でありすぐに切れなくなってしまうこと。

この方法は刃先の”よれ”を戻しているのですが、戻した刃先は弱くすぐに切れなくなります。
ただ、出先などでの応急処置としては有効です。
私も予定外の場面で包丁を渡されるとこの方法を使います。
(片刃に合わせたあて方をする必要があります。)

砥石を使って包丁を研ぐ(片刃)

片刃の包丁は両刃と比べて研ぐのが簡単です。
理由は左右のバランスを考える必要がないから。
斜めに刃が付いている方から研ぎ、かえりが出たら真っすぐにかえりを落とせば完成です。

片刃の包丁を研ぐとはこういうこと

基本とうまく研ぐ為のポイント

包丁を研ぐ基本の手順とうまく研ぐ為のポイントを解説します。
自分ができていないポイントや、気にしていなかったポイントを見つけて改善しましょう。
すべてのポイントをクリアできる頃には包丁研ぎが楽しみになりますよ!

1準備するもの

・砥石(20分ほど水につけて水分を含ませる)・研ぎ台(なければ濡れ布巾)・面直し砥石(砥石のメンテナンス用)

砥石は中砥(1000番くらいの物)が1つあればOKです。
研ぎ台は砥石とセットになっている物もあります。
無ければ濡れ布巾などで砥石がずれないようにしましょう。

ポイント1:砥石には粒度(研磨する粒子の粗さ)によっていくつかの種類があります。(荒砥・中砥・仕上げなど)
ポイント2:研ぎ台は砥石がずれないようにするための物です。

砥石について詳細はこちらリンク  (工事中)

2持ち方・構え方

右利き用の片刃包丁は画像の向きで研ぎ始める
片刃包丁の刃の名称

研ぎ台の上に砥石をセットし右手で斜め(だいたい45度くらい)に包丁を構え、砥石に切刃をピッタリとつけ、そこから刃先が砥石にあたるように少しだけ(10~15度)包丁のみねを持ち上げます。

画像は右利き用の出刃包丁
画像は右利き用の出刃包丁
画像は右利き用の出刃包丁

右利きであれば上の画像と同じ向きです。
左利き用の片刃包丁は切刃が反対側に付いているので包丁を持つ手が反対になります。)(下の画像)

左利き用の片刃包丁はこの向きが研ぎ初め(画像は三徳包丁)

ポイント3:常に砥石にあたる刃先の角度が同じである必要があります。
角度がバラバラだと鋭く均等な刃を付けることができません。

これが包丁研ぎで一番難しい所です。
前後に包丁を動かす際に角度が微妙にずれてしまうのがその理由。
繰り返し練習することで上達し刃をうまく固定できるようになっていきます。

両刃との違い
片刃の包丁は切刃の付いている面だけ角度を固定できれば良いので以外と簡単にできます。

3研ぐ

刃渡り16cmほどの出刃包丁であれば手元付近・中腹・先端付近と片面を3~5箇所に分けて切刃が付いている方から研ぎます。

画像は16cmの牛刀

ポイント4:先端がそり上がっている包丁はそり上がっている(カーブしている)部分は直線部分よりも細かく分けて研ぐ必要があります。(直線的な動きではカーブしている刃先は研げないので研ぐ範囲を細かく分けることによりカーブに対応します 。

研いでいる時に出る黒い”研ぎ汁”は流さずにそのまま研ぐと滑りがよくうまく研ぐことができます。

左手の指で研ぎたい部分を押さえて刃先を砥石にあて前に滑らせて研ぎます。
ポイント5:手元に戻す時は左手の指の力を抜き刃先は砥石にあてないようにしましょう。
刃先全体を均等に研いだら研げているかチェック!
ポイント6:各箇所を同じ回数研ぐようにするとズレが少なくなります。

研げているかのチェックとは?
親指で刃をなぞり”かえり”が出ているかをチェックします。
”かえり”とは刃先を研いでいくと研いだ面の反対に金属のバリのようなものが出ます、これがかえりです。
”かえり”は刃先の先端が研げた時にしか出ないのでこれが出ているかをチェックすることで研げたかどうかがわかります。

親指をスライドさせてかえりを確認する。

根元から先端まで”かえり”が出ていたら裏側を研ぎます。
包丁を砥石に密着させてみねの方に引いてかえりを取るように動かし取れたら完成です!

砥石の面直し
面直し砥石で砥石の面を真っすぐに直しておきます。
砥石が曲がっているとキレイに刃をつけることができないからです。
荒砥を買っておいて二つの砥石を擦り合わせるという人が多いのですが、荒砥も徐々に形が崩れるので面直し砥石がおすすめ!

面直しをしていない砥石:これでは均等に研げない

毎日料理を作る一般家庭で、月2回研ぐのならそれほど時間はかかりません。
包丁研ぎは5分、面直しは1分もあれば終わります。
面倒と思わず、こまめにするのが最後のポイントです!

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今現在、一般家庭で片刃の包丁というと出刃包丁くらいしかないかもしれません。
両刃の三徳包丁が主流となり片刃の包丁は少なくなりました。
しかし、片刃の包丁は両刃の包丁よりも劣っている訳ではなく、どちらにも良い点があります。
砥石で研ぎやすいというのは片刃の利点のひとつと言えるでしょう。

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