近未来的なフォルムで衛生的。
オールステンレスの包丁は今、どんどん増えていて次世代の主流とも言うべき存在です。
その存在感から気になっている人も多いはず。
そんなあなたのために、このページでは現役料理人の私がオールステンレスの包丁について解説します。
このページで登場する売れ筋のオールステンレス包丁一覧
下村工業ウェルダン ウェルダンファイン TOJIROPRO GLOBAL ツヴィリングツインフィンⅡ ヘンケルスユニティーデイリー 関孫六匠創 関孫六10000ST 和平フレイズキルグ グレステン
オールステンレスの魅力と特徴
魅力
オールステンレスの魅力は近未来的でスタイリッシュなフォルムです。
サビにくくお手入れも簡単なので家庭での普段使いにも、たまにしか使わない予備の包丁にもおすすめ。
木製などの柄とくらべてシャープな印象が魅力です。
特徴
オールステンレスの特徴は継ぎ目のない一体型の形状と劣化しない柄です。
普通の包丁だと刀身と柄の接着部に汚れが溜まる可能性がありますが、オールステンレスの包丁だと継ぎ目が無いので汚れが溜まらず衛生的。
木製の柄だと留め具がゆるむ事もありますが、金属一体型はそういったこともないので安心。
柄の劣化がありませんので食洗機対応している製品が多いのも特徴です。
オールステンレスのデメリットとは?
オールステンレスの包丁にはいくつかのデメリットがあります。
デメリット
- 手になじまない
- くぼみに汚れが溜まりやすい
- 滑る
- 重い
- 柄が冷たい
- 研ぎにくい
ネットの口コミも参考にしてデメリットを書き出しました、順に見ていきましょう。
手になじまない:これは形状が変わらないという事であれば樹脂などでも同じです。
感触がということであれば金属なので仕方がないと思います。
なるべく自分に合った物を選ぶのが良いでしょう。
くぼみに汚れが溜まりやすい:上でも書きましたがオールステンレスだと普通の包丁と比べて経年劣化が少ないです。
そのため、最初から汚れが溜まりやすいくぼみなどがある商品は避けるほうが良いでしょう。
滑る:たしかに木製よりも金属製のほうが滑りやすいです。
オールステンレスの包丁でも滑りにくい加工や形状をしたものを選ぶのが解決策。
重い:確かに樹脂や木よりも金属の方が重いのですが厚さなどで調節することができます。
そのため、金属だから重いのではなくその包丁にはその重さがベストという”作り手”の考えが反映されていると考えるのが自然。(金属が多いと原価が高くなるのでメーカーは損です)
軽いものが良ければ商品の重さを確認して購入するのがいいでしょう。 (包丁の重さは切れ味と関係します)
柄が冷たい:真冬の野外で使うのであれば凄く冷たいでしょうから購入を考えたほうがいいかもしれません。
樹脂や木の柄よりも金属の柄は温度が変化しやすいので仕方がないことです。
ただ、あなたが包丁を使うのは暖房のある室内ではありませんか?
そうであれば室温よりも少し冷たい程度ですから気にするほどではありませんよ。
研ぎにくい:ハガネと比べるとステンレス系の刃は研ぎにくいです。
これは金属の性質によるものでオールステンレスの包丁に限ったことではありません。
柄が樹脂でも木でも刃がステンレス系の包丁であればどれでも同じことが言えます。
ステンレス系でも研ぎやすいものと研ぎにくいものがありますからその包丁の材質に合った研ぎ器を使うのが解決策です。
具体的には同じメーカーで推奨している研ぎ器を使うのが良いです。
セットになっているものもあってお得❗
低価格な包丁であれば刃材は比較的柔らかいものがほとんどです。
迷っている方はこちらでおすすめしている研ぎ器を使えば問題ありません。
オールステンレスの包丁の選び方とポイント
あなたが”新しく買う包丁”に求めるものは何でしょうか?
- 切れ味
- 見た目
- 重さ
- サイズ
これらは”新しく買う包丁”全般に言えること。
なので、これらを踏まえた上で“オールステンレスの包丁特有のポイント”を足します。
それは、継ぎ目が無く衛生的・食洗機が使える、という2つのポイントです。
表、人気のオールステンレス包丁のポイント(刃渡り165㎜前後の三徳包丁に限定)
名称 | 刃渡り・重量 | 切れ味 刃材の評価と材質 | 食洗機対応 | 衛生面 くぼみの有無 | 定価 |
TOJIRO PRO | 170㎜・150g | ◎(VG10) | ✕ | △(トルネード模様) | 9900円 |
GLOBAL | 160㎜・165g | 〇(モリブデンバナジウム) | ✕ | ✕(細かいドット模様) | 9900円 |
グレステン817TMM | 170㎜・171g | ◎(グレステン鋼) | ✕(記載なし) | △(刃のディンブル加工)*食材ばなれを良くする加工 | 16000円 |
ツヴィリング ツインフィンⅡ | 165㎜・ 160g | ◎(N60ステンレス) | ○ | △(浅いスリット5本) | 12100円 |
関孫六 10000ST | 165㎜・150g | ◎(特殊ステンレス刃物鋼) | 〇 | 〇(ビーズショット:ざらざら) | 11000円 |
関孫六 匠創 | 165㎜・134g | △(高炭素ステンレス) | 〇 | △(浅いくぼみ) | 4950円 |
下村工業 ウェルダン | 165㎜・130g | 〇(モリブデンバナジウム) | 〇 | ◎(無し) | 3000円 |
下村工業 ウェルダンファイン | 160㎜・145g | 〇(モリブデンバナジウム) | 〇 | △(くぼみ) | 売価のみ3034円 |
和平 フレイズ キルグ | 160㎜・ 170g | △(ステンレス鋼) | 〇 | ○(小さいリブ) | 売価のみ1884円 |
ヘンケルス ユニティーデイリー | 160㎜ | △(特殊ステンレス鋼) | 〇 | 〇(浅いスリット3つ) | 3080円 |
*刃材の評価はモリブデンバナジウムを〇としてそれ以上とそれ以下に分けています。
*くぼみ以外の見た目に関しては下の商品画像でご確認ください。
5000円より上を高価格帯それ以下を低価格帯として分けていますが、ひとつ気になることがあります‼
それは、低価格帯はすべて食洗機対応なのに対して高価格帯は不可が多いこと。
オールステンレスの包丁は、食洗機などが使えることが”売り”のひとつですが厳密に言うと実は良くないのです。
熱湯で洗うので刃の金属皮膜が取れてしまいサビやすくなります。(ステンレスでもサビは出ます)
さらに、食洗機に使われる洗剤は金属に良くないものが多く金属を腐蝕させるのです。
ただ、衛生的なことがオールステンレスの利点でもあり食洗機を使う家庭が増えてきているので許容しているのでしょう。
もうひとつは温度により包丁自体も熱くなること温度変化も包丁にとってあまり良くありません。
売れ筋オールステンレスの包丁から選ぶ!現役料理人のおすすめランキング!
オールステンレスはこの先伸びていく包丁のタイプ。
気になる人は使ってみるとその素晴らしさに気付くはすです。
オールステンレスの高価格帯ランキング
価格に大きな差あるので5000円以下のクラスと上位クラスで分けてランキングしています。
関孫六 10000ST ⭐⭐⭐
オールステンレスで選びたいならこれ!国内最大手のメーカーなので技術力が違います!
関孫六でオールステンレスの包丁は2種類ありますが、切れ味やコストパフォーマンスから総合的にみると10000STがもっともオススメのオールステンレス包丁です。
柄はビーズショットと呼ばれる表面をザラつかせる加工が施してあり汚れの溜まる心配もなく滑り止めとなり衛生的。
ツヴィリング ツインフィンⅡ⭐⭐
TWINFinから進化したスポーティーなデザインのオールステンレスモデル TWINFin Ⅱ。
ハンドルはあえて左右非対称とし滑りやすい金属ハンドルを確実にグリップできるように考えられています。
刃材には新素材N60を使用、フリオデュア処理を施し硬度は60と性能も高級モデルに引けを取りません。
お得な2本セットや研ぎ器とのセットも充実していて狙い目です。
こちらは”マルチパーパス”という種類ですが、意味は”多目的”なので三徳包丁と同じと考えて下さい。
個人的にはオールステンレスで買うならツインフィンⅡです。
理由はスリットが少し入っているものの衛生的なこと・刃材の質も十分高いこと・カッコイイことです。(10000STよりも見た目が好み)
TOJIRO PRO⭐⭐
TOJIRO PROの三徳包丁はとても人気の高い包丁です。
本格的なつくりと材質の良さから切れ味も抜群。
左右対称のトルネード模様の柄は美しくグリップを助けます。
高性能ながら手の届きやすい価格で購入できるおすすめの一本。
グレステン⭐⭐
グレステンはプロから見ると異色のメーカーです。
メーカー名は”ホンマ科学”で包丁の他に自動車や鉄道などの回転系の特許を持つ事業をしています。
ホンマ科学の包丁は科学的に考えられた製品であり見た目にもそれが表れています。
古い刃物の考えに縛られず科学を極めるメーカーの包丁です。
グレステンペティナイフ
押し切りするときまな板に指が当たらないように考えられた形状です。
刃と柄が段違いになっていて珍しく目を引きます。
(刃のくぼみは切った食材が刃に付きにくい加工)
GLOBAL⭐
GLOBALは大変人気のある包丁なので、ご存じの方も多いと思います。
人気の理由は類まれなデザインでしょう。
柄の細かいドット模様と刃材がモリブデンバナジウム鋼ということで今回は ⭐ ひとつの評価となりました。
デザインや単一素材で作られた堅牢性は上位以上!
モリブデンバナジウム鋼とは
モリブデンバナジウム鋼とはモリブデンとバナジウムが含まれた鋼材の総称なので複数の鋼材が当てはまります。
その為、モリブデンバナジウム鋼を使用した包丁の切れ味にはバラつきがあります。
良く切れる物もあればそこそこの物もあるということです。
正確にお伝えできるといいのですがメーカー発表以上のことはあくまでも憶測となります。
刃材がモリブデンバナジウム鋼以下の場合は総称を用いていることがほとんどです‼
例:ステンレス鋼・特殊ステンレス鋼・高炭素ステンレス鋼(ハイカーボンステンレス鋼)・モリブデン鋼・モリブデンバナジウム鋼など。
すべて総称ですがある程度の目安になります。
オールステンレスの低価格帯ランキング
長く使わない人や買い替えの多い人には低価格帯のおすすめを紹介!
ヘンケルス ユニティーデイリー⭐⭐⭐
スラリとシャープな見た目のユニティーデイリーは柄に浅いスリットがあるのですが小さめ。
切れ味に関しては私がこれをよく使っているので感想を含めて書きます。
低価格の商品なので刃材が特にいいわけではないのですが、そのぶん刃が薄く食材への切れ込みがいいのです。
もちろん何でもよく切れるとは言いません!
ジャガイモなど硬めの根菜などは本体が軽いので力が必要で切りづらさを感じます。
ただ、その軽さと薄さが葉野菜やフルーツを切りやすく丁度いいサイズの包丁なのです。
この位の価格帯の刃材は柔らかいので研いでもすぐに切れなくなります。
強くまな板に押し付けたり、硬い物を切れば一発で切れなくなることも!
それを理解して使うのがポイント!私はスチール棒で刃先のヨレを直して使っています。
安くて刃が柔らかい・軽い・薄い包丁は使い方しだいで調理の片腕となるのです。
下村工業 ウェルダン⭐⭐⭐
ウェルダンの爆発的な人気の秘密は低価格な中で非常にコスパが高いという点です。
低価格ながらも刃材にはモリブデンバナジウム鋼を使用し、くぼみのない形状。
柄をふっくらとした流線形にすることで滑りやすさを抑えています。
一体成型で作られているので一切の継ぎ目がなく衛生的です。
AMAZONベストセラー1位を獲得するだけの性能を秘めています。
関孫六 匠創⭐⭐
国内で大きなシェアを誇る貝印の関孫六は 特に低価格帯の製品には評価が高いです。
匠創は関孫六のオールステンレスでのエントリーモデルとなります。
刃先の厚みを薄く仕上げる”スキ加工”と”三段階研削加工”により、食材への切り込みと鋭い切れ味を実現。
包丁にとって大切なバランスなど性能は低価格帯の中でも上位に来ることは間違いありません。
ただ今回、柄のくぼみがある点で若干のマイナス評価です。
下村工業 ウェルダンファイン
こちらは上のウェルダンを改良した商品です。
改良点は柄とサイズと重さのようですが、下村工業のホームページではウェルダンファインの名は無く確認できませんでした。(アマゾンにはあります)
口コミを見ると、使いやすい・時短になる・価格的に十分、など良いコメントと、
すぐに切れなくなる・期待外れ・こんなものか、など悪いコメントも多く見られました。
おそらくウェルダンが売れたので別バージョンを作ったのだと思います。
刃の厚さがウェルダン1.8㎜ウェルダンファイン2.4㎜、重さ15g差・刃渡り0.5mm差ウェルダンの方が食材への切れ込みが良いでしょう。
ウェルダンが優れた商品ならば全体のバランスはベストだと考えられるので、私としてはオリジナルのウェルダンをおすすめします。
和平フレイズ キルグ
和平フレイズは家庭用品・調理用品・インテリア用品などを扱うメーカー。
キルグは特にオールステンレスと安さを重視した商品です。
口コミで特に気になったのは「バリがある」と「テープがこびりついている」など簡単な仕上げを指摘するコメント。
中国製でこのようなコメントが多いと雑な作りと考えてしまいます。(中国製でも良いものはあります)
刃材の評価は低め、重量は高価格帯に近く重め、値段は一番安く価格重視です。
まとめ
全体を通してランキングは”関孫六”と”ツヴィリング・ヘンケルス”が強い結果となりました。
巨大メーカーの方が開発費がかけられるのは間違いないです。(どちらも超有名メーカー)
高価格帯の製品はメーカーごとの作りに違いがありますが完成度が高いものばかりでした。
一方、低価格帯の製品は価格重視な面は否めず、大きなメーカーの方がより良い製品を出していると思います。
これからの売れ筋で競争の激しいオールステンレスの包丁ですが、ポイントを良く理解して選べば失敗することはありません。