どんな包丁でも使っていれば必ず切れ味が悪くなります。
そんな時、多くの人は”研ぐ”という選択をするでしょう。
包丁を研ぐのには砥石や簡易研ぎ器を使うのですが、
その違いや砥石の種類について知っている人は少ないです。
そこでこのページでは現役料理人である私が”砥石”の種類や選び方について解説します。
砥石と簡易研ぎ器の違い
簡易研ぎ器は包丁の刃先を荒らして食材への食いつきを良くしています。
それに対して砥石は新しく刃を整形しなおしているというのが大きな違い。
良く切れて切れ味が長続きするのは砥石で研ぐ方です。
砥石での包丁研ぎにチャレンジしてみましょう。
簡易研ぎ器は一時的に切れ味が良くなりますが、連続して使っていると効果はなくなります。
たまには砥石での研ぎ直しが必要です。
砥石の違いとポイント
砥石と言ってもメーカーや種類がたくさんあって迷いますよね?
砥石はメーカーやブランドによって材質や作り方(固めかた)が違います。
この違いによって砥石は、研ぐのに適した包丁が変ってくるのです。
具体的には、ハガネの包丁には硬めの砥石・ステンレスにはやわらかめの砥石が合うなどといったこと。
こういった砥石の違いを踏まえて、自分の研ぎたい包丁に合った砥石を選ぶことが砥石選びの重要なポイントです。
砥石の選び方
ここからは砥石の選び方についての説明です。
順番に確認してあなたに合った砥石を選びましょう。
どんな材質の包丁を研ぐのか?
まずはあなたが研ぐ予定の包丁の材質を確認します。
上でも少し触れましたが、研ぎたい包丁の材質が”ハガネ”であれば硬めがおすすめ。
ステンレス系であればやわらか目がおすすめです。
ハガネは硬度がステンレス系と比較して高い(硬い)のですが、研ぎやすい特徴があります。
やわらかめの砥石で研ぐと砥石の減りが早いので研ぎ面が曲がり研ぎにくいのです。
その為、より刃が付けやすい硬めの方がおすすめです。
一方、ステンレス系はモリブデンやバナジウムなど研ぎにくい成分が含まれた物が多く、
硬い砥石で研ぐと砥石の上を滑ってしまい研ぎにくいので、やわらか目がおすすめ。
”少しの違い”なのですが、実際に研ぐ時には”その違いは大きく感じられます”。
(10分で終わる作業が20分かかるなど、実際やってみると違いを実感します)
なるべく研ぎやすい物を選ぶことが手間や時間の短縮ができておすすめです。
ステンレス包丁の材質は種類が多いです。
中でも比較的硬度の高いコバルト合金鋼やV金10号などは硬めの砥石が研ぎやすい場合もあります。
粉末ハイス鋼やZDP189は硬度が高いので研ぎ直しにはダイヤモンド砥石など研磨力の高い砥石を使う必要があるでしょう。
研ぎたい包丁の素材がわからない方も多いと思います。
材質はわからないけどサビないからステンレス系という場合はやわらか目。
三徳包丁・牛刀・ペティナイフで、5000円くらいまでで買った包丁の場合はやわらか目がおすすめです。 (ステンレス系で硬度の高い物は高価な為)
セラミック包丁は硬度が金属よりも高くダイヤモンド砥石でないと研ぐことはできません。
欠けやすいセラミック包丁は研ぐことが難しいのです。
その為、ダイヤモンドシャープナー(簡易研ぎ器)で切れ味が戻らないのであれば、メーカーの研ぎ直しサービスをおすすめします。
番手を選ぶ
砥石には”番手”といって♯から始まる数字がついています。
数字が小さいほど粒子があらく、大きくなるほど粒子が細かくなるのです。
一般的に#600より下は荒砥石・♯800~♯2000が中砥石・♯3000~♯6000が仕上げ砥石・♯8000~は超仕上げ砥石となります。
初めて買う砥石・通常使う砥石は♯1000~♯1500くらいの中砥石がおすすめ。
刃が丸くなった包丁の研ぎ直し・刃付けにはベストな粒度(粒子のサイズ)だからです。
あらいと良く削れるのですがそのぶん傷が深く切れ味も悪くなります。
しかし、あまり細かいと削れる量が少ないので「いつまで研いでも刃が付かない」のです。
研ぎたい包丁の状態に合った番手を選ぶことが研ぎやすく・うまく包丁を研ぐことにつながります。
その他の番手について
”荒砥石”は欠けを直すなど大きく形状を変えたい場合に使います。
切れ味の回復が目的であれば必要無いでしょう。
中砥石での包丁研ぎになれたら”仕上げ砥石”にも挑戦すると良いです。
中砥石で研いだ後に仕上げ砥石をかけると滑らかな切れ味が体感できます。
包丁自体もピカピカで光るようになり切れ味も長持ちするように!
”超仕上げ砥石”に関しては、鋭さ・滑らかさが増し、鏡面仕上げと言える仕上がりになります。
中砥石だけなら♯1000か♯1500、研ぎ時間を短くしたければ♯1000を選びます。
滑らかさを求めるなら♯1500の方が良いです。
♯1000で研いで別に#3000以上の仕上げ砥石で仕上げればより本格的になります。
このページでおすすめしているのは人造砥石(人が作り出した物)だけです。
砥石には人造と天然がありますが天然砥石はとても高価で希少。
特に天然砥石を使いたい方以外には必要無いでしょう。
あなたの包丁に合った砥石!おすすめ5選
砥石は見た目で違いは判りません。
研ぎたい包丁は人それぞれ違いがあるでしょう。
しかし、あなたが買って”失敗しない砥石”を紹介したいと思っています。
あなたの研ぎたい包丁の材質や研ぐ頻度、場所や仕上がり、手間を考えて選びましょう。
安くて便利すぎる商品は粗悪品の場合が多いので注意してください。
キングデラックス No.1000
この砥石は「見た事がある」と言う方が多いとおもいます。
それくらい多く出回っている砥石です。
やわらか目で多くの種類の包丁に合わせやすく重宝します。
サイズ(207x66x34)と十分な大きさがあり研ぎやすく値段もリーズナブル。
- 材質がわからない
- 番手に迷う
- どれがいいか決められない
など、迷っている方はこれがおすすめです!
一番スタンダードで研ぎやすく安価!
唯一の欠点は台が無いこと、別で用意するか布きんなどで滑りどめをする必要があります。
シンクブリッジ 砥石台
こちらは砥石を固定する為の器具で包丁を研ぐスペースの無い方におすすめです。
包丁を研ぐと研ぎ汁が出てまわりが汚れるので研ぎ場所選びには苦慮します。
しかし、シンクブリッジを使うことでシンクの上で砥石を固定できるのです。
これを使えば、スペース問題と汚れの問題が解消されるので便利!
砥石の固定は必須です!
私は職業上、場所に困ることはなく布きんで砥石を固定します。
あなたの作業スペースに適当なスペースがあれば布きんで問題ありません。
もし研ぎ場所に困るのであれば検討してみて下さい。
(必ずシンクのサイズを確認!)
シャプトン 刃の黒幕 ブルー♯1500
名前が印象的な”刃の黒幕” ブルー♯1500です。
上のキングデラックスと比べ硬めなので研ぎ面の変形が少なくなります。
ハガネの包丁や硬度が高めのステンレス包丁(V金10号など)はこちらをおすすめします。
こちらは番手が♯1500なので”刃の黒幕”オレンジ♯1000と比べて鋭く滑らかな刃付けが可能。
シャプトン”刃の黒幕”は専用の台が付いているので便利です。
シャプトンの刃の黒幕シリーズは色違いで多くの番手がそろっていて人気があります。(♯120~♯30000)
♯1500よりも♯1000なら早く研げますし、
♯5000で仕上げれば家庭では十分な滑らかさと鋭さを得ることができます。
シャプトン刃の黒幕は普通の砥石のように使う前に水に浸ける必要がありません。
研ぎながら水を垂らす程度でOK!
これは非常に大きなメリットで、まわりも手も汚れにくいですし、何より手軽です!
特に一般家庭にはうれしい仕様ですね!
包丁の研ぎ方についてはこちらのページへ
包丁の研ぎ方(両刃編)
包丁の研ぎ方(片刃編)
キング トイシの王様
こちらの砥石は両面が別の番手になっています。
ひとつで中砥石と仕上げ砥石がついているのでお得な商品。
サイズが185 x 63 x 25とキングデラックスよりも小さくなりますが、
刃渡り16cm~18cmくらいの包丁であれば問題ありません。
研ぎ台もついているので安く抑えたい人はこれがおすすめです。
シャプトン 刃の黒幕 エンジ
仕上げ砥石としてシャプトン 刃の黒幕 エンジ♯5000を紹介します。
通常の研ぎでは上で紹介しているブルー♯1500を、その後の仕上げでエンジ♯5000を使うと切れ味の良い強い刃がつくのでおすすめです。
特に1つ目の中砥石でシャプトンを選んだ方は、使い方も同じで扱いやすいのでシャプトンでそろえるのがいいでしょう。
キングゴールド仕上砥 G-1型
♯8000の仕上げ砥石、これを使いたい包丁は刺身包丁です。
このレベルの仕上げ砥石をかけた刺身包丁で刺身を切ると刺身の断面がつるりと濡れたように切れます。
包丁研ぎにこだわりを持つようになったら、ぜひ使ってみて下さい!
面直しとは?
砥石は使っていると研いだ部分がへこみます。
これを水平に直すのが”面直し”です。
研ぎ面が水平でないと包丁をキレイに研ぐことはできません。
さぼるとどんどん面倒になるので”こまめにする”のがおすすめ。
使った砥石に線を書いて面直しと擦り合わせるだけです。
線がすべて消えたら水平になります。
面直しに荒砥など他の砥石とすり合わせる方が多いです。
この方法でもある程度はなおります。
しかし、どちらか弱い方が多く削れていってしまうので面直し用を用意するのがおすすめです!
シャプトン なおる
シャプトンの砥石修正器です。
シャプトンはひび割れなどを防ぐ為、こちらの専用パウダー付きを使うのがおすすめです。
”なおる”は精度が高いのでキレイな水平を出すことができます。
SK11 両面ダイヤモンド砥石 #400 #1000 204×65×7mm
こちらはダイヤモンド砥石ですが面直しで使えます。
工具用のダイヤモンド砥石なので普通の砥石よりも強くすぐに面直しが終わるのでおすすめです。
ダイヤモンド砥石を下に置き、砥石を上から擦り合わせます。
毎回やれば1分かかりません!